プッシュスライスとバナナスライスの違い|出球と曲がりで2型診断

公開: 2026年7月25日更新: 2026年9月1日JIKU GOLF 編集部

「ドライバーが右に飛び出して、そのまま右の林へ消える」。

それとも「出だしは悪くないのに、

途中からバナナのような弧を描いて右へ曲がっていく」でしょうか。

同じ「スライス」と呼ばれていても、

この2つは出球も見た目も、やってはいけない対処も別物です。

先に本題です。

スライスの対策を選ぶ前に見るべきものは、グリップでもスイング理論でもなく、

出球の方向と、曲がり始めるタイミング。

この2点だけで、あなたのスライスはプッシュ型(プッシュスライス)とバナナ型(バナナスライス)のどちらかに振り分けられます。

この記事は「診断専用」です。

直し方の全体像は型ごとの解説記事に任せ、ここでは自分がどちらの型かを確定させることと、

型ごとに陥りやすい遠回りを避けることに集中します。

スライスが直らない一番手前の原因は「診断ミス」

スライスに悩む人の多くは、練習量や才能を疑います。

ですが編集部が知恵袋の相談を読み込んでいて繰り返し見つけるのは、

その手前でつまずいているケースです。

実際の相談を一つ引用します。

「ドライバーが、右にプッシュしたりスライスするので、

アウトサイドインが原因と思い先月から練習場でいろいろいじっています。

大体縦振りのためアウトサイドインになるのでインサイドアウトにしてみたらドライバーでもダフルのです」——

Yahoo!知恵袋の相談より(2022年投稿・原文ママ)。

注目してほしいのは対策の中身ではなく、順番です。

この方は「右に出る」という症状から、

アウトサイドイン(外から内へのカット軌道)を犯人と推定し、

軌道をインサイドアウトへ変える練習を始めました。

ところが、弾道計測が普及して以降の一般的な知見では、出球の方向はスイング軌道よりも、インパクト時のフェース向きの影響を強く受けます。

右に飛び出す球は「フェースが目標より右を向いて当たった」ことの証拠であり、

外から内へ振るカット軌道が主犯である可能性はむしろ低いのです。

結果としてこの方は、逆方向の処方箋を自分に出し、ダフリという別の症状まで呼び込んでいます。

スライス対策の失敗は、練習の失敗である前に診断の失敗であることが多い——

これが、型別の直し方を検索する前に、この診断記事を1本挟んでほしい理由です。

上位12記事を調べたら、見分ける手順を書いた記事は一本もありませんでした

診断が先だ、という話をしましたが、実際に検索結果はどうなっているのか。

数えて確かめました。

2026年8月2日、Googleで「アイアン スライス」を検索し、

上位12記事の全文を取得しました。

記事が読者に指示している処方は合計150件あります。

ところが——

  • 「見分け方」の手順を提示した記事:0本
  • 「切り分け」という考え方に触れた記事:2本
  • 体の動かし方を意識させる処方:100件(66.7%)
  • 数値を伴う処方:7件(4.7%)

つまり、150件の処方が、どの型の人に効くのかを示さないまま並んでいます。

読んだ人は、自分がプッシュ型なのかバナナ型なのかを知らないまま、

100件の「意識してください」の中から当てずっぽうに選ぶことになります。

効かなければ次を試す。

それを繰り返して、直らないまま時間だけが過ぎる。

スライスが直らない一番手前の原因が診断ミスだというのは、こういう意味です。

処方が足りないのではなく、処方を配る前の分岐が誰も書いていない。

この記事はその分岐だけを書きます。

2つの型の定義——見るのは出球と曲がり方だけ

当サイトでは、アマチュアが計測器なしで自分の球を見分けられるよう、

右曲がりのスライスを出球基準で次の2型に分類しています。

プッシュ型とバナナ型の弾道比較(出だしの方向からすでに違う)
  プッシュ型(プッシュスライス) バナナ型(バナナスライス)
出球 目標より右に飛び出す 目標方向〜やや左に出る
曲がり方 出てからさらに右へ逃げる 中盤から大きく右へ戻る
軌道の傾向 インサイドアウト気味(クラブが内側に残される) アウトサイドイン(カット軌道)
フェースの状態 軌道よりさらに右へ開いている 振り遅れて軌道に対して開く
ありがちな診断ミス 「カット軌道のせい」と軌道をいじる 「握りのせい」とグリップだけ変える

プッシュ型は、振り遅れでクラブが内側に置いていかれ、

インサイドアウト気味の軌道に対してフェースがさらに開いて当たったときに出る球です。

バナナ型は、外から内へのカット軌道に、振り遅れで開いたフェースが組み合わさった、

いわゆる「こすり球」です。

軌道の見た目は逆方向ですが、

フェースが開く土台に振り遅れがある点は共通で、この共通点があとの矯正先の話につながります。

ところで、2つの俗称を並べてみると面白いことに気づきます。

「プッシュ(押し出し)」は出球の名前で、「バナナ」は弧の形——

前半は真っすぐ、後半に急カーブ——の名前です。

呼び名そのものが、「出球と曲がり方を見れば型が分かる」という診断の軸をすでに語っている、と編集部は考えています。

練習場での診断手順(10球あれば足ります)

診断に計測器はいりません。

いつもの練習場で、次の手順で10球だけ打ってください。

  1. 目標を1つ決める。奥のネット柱や看板で構いません。打席マットの向きは目標とずれていることがあるので、基準はマットではなく自分で決めた目標に置きます。
  2. 症状が出るクラブで10球打つ。診断中はスイングを直そうとせず、いつも通り振ります。
  3. 1球ごとに「最初の10〜20ヤードが目標より右か、左〜真っすぐか」だけを記録する。この段階で曲がりはまだ見ません。
  4. 次に曲がりを見る。右に出てさらに右へ曲がるならプッシュ型。左〜真っすぐに出て途中から右へ大きく戻るならバナナ型です。
  5. 10球中6球以上が同じパターンなら、その型で判定します。割れた場合の読み方は後述します。
10球診断フローチャート(出球と曲がり方で型を判定)

コツは一つだけ、打感で判断しないことです。

手応えと実際の出球は驚くほどずれます。

可能ならターゲットラインの後方延長線上にスマホを置いて撮影すると、

出球が右か左かは一目で確定します。

バナナ型の内訳——カット軌道と開いたフェースの根は一つ

バナナ型の内訳は「カット軌道+開いたフェース」ですが、

その2つを同時に生んでいる幹は、多くの場合ダウンスイングでの振り遅れ——

体だけが先に開き、腕とクラブが置いていかれる動き——です。

腕が遅れるとフェースは開いたまま、遅れを取り返そうとすると軌道は外から被さります。

軌道とフェースが別々の症状に見えて、根は一つです。

▲ バナナスライスも修正できる!左手の掌屈を使わない方法(キウイコーチゴルフチャンネル・日本語)

直し方の本体はこの記事では扱いません。

スライスの構造全体と対策の優先順位はスライスの直し方の解説記事に、

カット軌道そのものの矯正はアウトサイドインの直し方の記事に、

振り遅れを生む手打ちの仕組みは手打ちの解説記事にまとめています。

器具で矯正したい方は症状別の練習器具の選び方の記事から選んでください。

当店で販売している同調スイングボールも、両前腕に挟んで素振りし、

腕と体が離れた瞬間に落ちて教えるという仕組みの通り、この振り遅れという幹に向けた器具です。

なお、器具や練習の効果の感じ方には個人差があります。

プッシュ型の幹も振り遅れ——手先で返すと左右の往復が始まる

プッシュ型は一見、バナナ型と正反対の球に見えます。

軌道は内から外、バナナ型は外から内——それなら原因も逆だろう、と考えたくなります。

ところが幹をたどると、行き着く先は同じ振り遅れです。

体が先に開いて腕とクラブが置いていかれるところまでは共通で、

その遅れを外から被せて取り返すとバナナ型に、

遅れたまま内側から振り抜くとプッシュ型になります。

同じ幹から、遅れの取り返し方の違いで別の枝が伸びているのです。

スライスの直し方の解説記事の球筋タイプ別の逆引き表でも、

プッシュスライスは「振り遅れが強く、

フェースが大きく開いて当たっている」型として整理しています。

▲ ドライバーの「プッシュスライス」なぜ出る?どう直す?(三觜喜一MITSUHASHI TV・日本語)

プッシュ型は上級者にも出ます。

知恵袋には、ハンディキャップ10・ヘッドスピード47m/s前後というゴルファーからこんな相談がありました。

「プッシュスラが多発して、返そうすると引っ掛けが出ます」——

Yahoo!知恵袋の相談より(2022年投稿・原文ママ)。

この一文が、プッシュ型で一番やってはいけない対処を教えてくれています。

開いたフェースを手先で「返す」と、タイミングが合った球は捕まりますが、

合わない球は今度は左へ引っ掛かる。

右と左の往復が始まり、散らばりはむしろ広がります。

フェースの向きをその日の手先のタイミングに預けている限り、この往復からは出られません。

優先すべきは手先の操作ではなく、フェースを毎回同じ向きで戻せる土台——

つまり腕と体の同調で、軌道の修正はその後です。

冒頭の相談者のように軌道を先にいじると、別の症状を呼び込みやすいことも思い出してください。

また、握りを変えて入口だけ狭める対処が長続きしにくい理由はグリップ矯正の限界の解説記事で扱っています。

つまりこの診断の価値は、型ごとに正解の練習器具を割り振ることではなく、

型ごとに違う「逆向きの処方箋」を避けることにあります。

プッシュ型なら軌道いじりと手先の返し、バナナ型ならグリップだけの変更——

どちらも幹の手前で止まる対処です。

判定が割れたときの読み方

10球が右出球と左出球に割れる場合、まず疑うべきは「クラブによって型が違う」可能性です。

クラブを1本に固定して再診断してください。

よくあるのは、短いクラブではバナナ型なのに、ドライバーだけプッシュ型が混ざるパターンです。

クラブが長く重くなるほど振り遅れは拡大するので、

同じ幹でも長いクラブだけ症状の出方が変わることは珍しくありません。

型が2つあるのではなく、同じ幹の程度差が出ただけ、と読んでください。

同じクラブで両方の型が出る場合は、

フェースの向きがその日の手先の操作に依存しているサインです。

この場合は型を確定させるより先に、フェース向きを毎回同じに戻せる体の使い方——

両型に共通する「幹」の練習——から入るほうが、診断のやり直しより早く進みます。

挟んで素振りする練習の具体的な手順は同調素振りドリルの解説記事にまとめています。

よくある質問

プッシュスライスとプッシュアウトはどう違いますか?

どちらも目標より右に飛び出しますが、

プッシュアウトはそのまま真っすぐ右へ飛び、

プッシュスライスは飛び出したあとさらに右へ曲がります。

曲がりが加わる分、プッシュスライスのほうがフェースと軌道のずれが大きい状態です。

診断では「右に出たあと曲がるかどうか」で区別してください。

バナナスライスは正式なゴルフ用語ですか?

俗称です。

左に出て途中から右へ戻る球は、

レッスン用語ではプルスライス(引っかけスライス)と呼ばれます。

本記事のバナナ型は、目標方向へ真っすぐ出る球も含めて曲がりの形で括った分類なので、

プルスライスより少し広い範囲を指します。

出球と曲がりの形で直感的に見分けられるよう、あえてバナナ型という呼び方で統一しています。

10球診断で判定が割れた場合はどうすればいいですか?

クラブを1本に固定して、別の日にもう10球試してください。

クラブごとに型が違うことは珍しくありません。

同じクラブで両方の型が出る場合は、

フェースの向きがその日の手先の操作に依存しているサインと考えられます。

診断だけで球筋は変わりますか?

診断は対策を選ぶための工程で、診断そのものでスイングが変わるわけではありません。

型が分かったら、本文で案内した型別の解説記事に進んでください。

効果の出方や必要な期間には個人差があります。

10球の記録で型が確定したら、練習の段階に移ります。ここで一つだけ注意があります。診断に使った出球の記録を、そのまま練習の成績表に流用しないことです。出球は複数の崩れが混ざり合った末端の結果で、どの崩れ由来かまでは遡らせてくれません。一振りずつの成否を何で確かめるのか。診断を練習につなぐ最後のピースが、その先に書いてあります。

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この記事について

JIKU GOLF 編集部

同調スイングボールなどのゴルフ練習器具を自社で企画・開発・販売する「JIKU GOLF」の編集部です。記事は、検索上位記事の全数分類調査と、運営ストアで蓄積した実測データにもとづいて制作しています。運営者情報

※練習の効果には個人差があります。本記事は一般的な練習情報の提供を目的としています。