ゴルフの素振りは効果ある?逆効果になる人の共通点と判定法
「ゴルフ 素振り 効果」と検索すると、正反対の答えが同じ画面に並びます。
毎日50回・100回の素振りを勧める練習解説のすぐ近くに、
「毎日の素振りをやめたら調子が上がった」という個人の体験談が上位に表示され、
Q&Aサイトには「素振りの効果ってありますか?」
という質問が何年ぶんも積もっています。
どちらかが間違っているなら話は簡単です。
ところが実際には、おそらく両方とも本当のことを言っています。
素振りで上達した人と、素振りをやめて調子を取り戻した人が、同時に存在しているからです。
この記事で扱うのは、素振りのやり方でも、おすすめの回数でもありません。
同じ「毎日の素振り」をしているのに、
効果を積み上げる人と悪癖を固める人に分かれていく、その分岐の条件です。
読み終わる頃には、ご自身の素振りがいまどちら側にあるのかを、
三つの質問で自己判定できるようになります。
先にお断りしておくと、私たちは素振りに使う器具も売っている側です。
ただ、この記事の大半は、器具がなくても成立する話です。
「素振りは効果があるか」に答えが二つ並ぶ理由
まず、検索結果の食い違いから片づけます。
素振りを勧める側の根拠は、はっきりしています。
球代がかからず、場所を選ばず、結果を気にせずフォームだけに集中でき、
練習場へ行けない平日でも反復量を稼げる。
どれも事実です。
素振りという練習形式そのものに備わった長所で、ここに異論はありません。
一方の「やめたら良くなった」という体験談も、作り話とは思えません。
そして重要なのは、この二つが矛盾しないことです。
素振りという同じ名前で、中身のまったく違う二つの行為が呼ばれているからです。
一つは、直したい動きが決まっていて、一回ごとに合っていたかどうかを確かめながら振る素振り。
もう一つは、何をもって合格とするかを決めないまま、回数だけを数えて振る素振りです。
前者は積み上がり、後者はいまの癖をそのまま上塗りします。
やめて調子が戻った方の素振りは、後者だった可能性が高い。
振るのをやめたことで、癖の上塗りが止まったわけです。
ですから「素振りは効果があるか」という質問には、そのままでは答えが出ません。
質問を立て直す必要があります。
「自分の素振りは、どちら側か」。
この記事の残りは、この一点だけを扱います。
素振りが悪癖を固める側に転ぶ仕組み
分岐の話に入る前に、原理を一つだけ置いておきます。
体は、正しい動きだけを選んで覚えてくれるわけではありません。
振った通りの動きを、出来の良し悪しにかかわらず、そのまま溜めていきます。
良いスイングを10回繰り返せば良いスイングが、
崩れたスイングを10回繰り返せば崩れたスイングが、
同じ確かさで体に刻まれます。
ここに、素振り特有の事情が重なります。
球を打つ練習には、下手なりに警報があります。
ダフれば手に衝撃が残り、シャンクすれば球が右へ飛び出す。
結果が毎回、何かしらを咎めてきます。
ところが素振りには、この警報が一切ありません。
どれだけ崩れた振り方をしても、空気は何も言ってこないのです。
つまり素振りは、打球練習よりも悪癖が混入しやすい練習です。
「球を打たないから安全」なのではなく、「警報が鳴らないから、
崩れたまま何百回でも素通りしてしまう」。
素振りはとりあえず体にいい、という一般的なイメージとは、ちょうど逆の性質を持っています。
ただし、これは素振りをやめる理由にはなりません。
警報がないという性質は、
裏返せば「何を警報にするかを自分で決められる」ということでもあります。
判定を設計した素振りは効果側に残り、設計しないままの素振りは悪癖側へ流れる。
分岐点は回数でも年数でもなく、ここにあります。

悪癖を固める素振りに共通する三つの特徴
練習器具を販売している立場としては本来、器具の話をしたいところです。
ただ、順番が逆だと考えています。
どの器具を使うかより手前で、素振りそのものが次の三つに当てはまっていないかどうか。
練習の収支は、ほぼここで決まってしまうからです。
特徴1:合否のない回数記録になっている
「今日は素振りを50回やった」。
この報告はできるのに、「50回のうち何回が合格だったか」には答えられない。
これが一つ目の特徴です。
回数は、目的にすり替わりやすい数字です。
50回振り切った達成感は確かに残ります。
ところが合否の記録がないので、その50回で何が良くなったのかは、本人にも分かりません。
分からないまま重ねた反復は、先ほどの原理の通り、
いま体に入っている癖の側へ積み上がっていきます。
毎日欠かさず続けている真面目な方ほど、この積み上げ額が大きくなる。
努力が割に合わない構図です。
特徴2:素振りと実際のスイングが別物になっている
「素振りは綺麗なのに、球を打つと崩れるね」。
同伴者にこう言われた経験のある方は、少なくないはずです。
球がなければ、当てにいく緊張も、ミスへの恐怖もありません。
だから誰でも伸び伸び振れます。
問題は、その伸び伸びした素振りが、
球を前にしたときのスイングと同じ動きなのかどうかを、
ほとんどの方が一度も確認していないことです。
別物のまま素振りを重ねると、上達するのは「素振り用のスイング」だけです。
マットの上では別人格のスイングが顔を出すので、
素振りの成果はいつまでも本番へ持ち込まれません。
乖離があること自体は珍しくありません。
問題は、乖離に気づくための照合手段を持っているかどうかのほうです。
特徴3:直したい動きが一つに特定されていない
「なんとなく全体を綺麗に振る」素振りです。
スイング全体を一度に良くしようとすると、注意は一振りごとに別の場所へ飛びます。
この一振りはトップの形、次は体重移動、その次はヘッドの走り。
どこにも判定を置けないので、どこも定着しません。
効果を積んでいる方の素振りは、聞いてみるとたいてい退屈です。
今週は腕と体の同調だけ。
今月は切り返しの順番だけ。
的を絞るから判定が置けて、判定が置けるから積み上がる。
見た目の充実度と効果は、素振りに関しては比例しないのです。
目的の違う素振りを、同じ帳簿で数えない
三つの特徴を自分の素振りに当てはめる前に、もう一つ切り分けをしておきます。
素振りとひとことで言っても、目的は大きく二系統に分かれます。
一つは、この記事がここまで扱ってきた型づくり系の素振り。
動きの順番や形を直すための反復で、ゆっくり・小さく振ることも多く、
一回ごとの合否が問題になります。
もう一つは、ヘッドスピードを上げるための連続素振りや重いもの・軽いものを振る練習に代表される出力系の素振りです。
こちらは体の出力そのものを引き上げるトレーニングに近く、速く振り切ることが目的なので、
一回ごとの細かい合否よりも強度と本数が意味を持ちます。
二つは別の練習です。
問題が起きるのは、混ざったときです。
型を直したいはずの素振りを全力で振り切ってしまえば、崩れた動きが最速で上書きされますし、
逆に出力を上げたいのに形ばかり気にしてそっと振っていては、トレーニングになりません。
この記事の分岐判定が当てはまるのは型づくり系のほうで、
出力系の素振りは「今日はスピードの日」と決めて、帳簿を分けて数えてください。
悪癖を固める素振りの多くは、
実はこの二系統が混ざった「速く振りながらなんとなく形も気にする」中間の素振りです。
効果が出る素振りとの違いを一覧で確認する
| 項目 | 効果が出る素振り | 悪癖を固める素振り |
|---|---|---|
| 数える単位 | 合格した回数 | こなした回数 |
| 直す対象 | 一つに絞っている | 全体をなんとなく |
| 実際のスイングとの関係 | 照合の手段がある(動画など) | 確認したことがない |
| 一振りの合否 | その場で分かる仕組みがある | 手応えでなんとなく |
| 回数を増やすと | 積み上がる | 癖が固まる |
右の列に心当たりが多くても、才能の問題ではありません。
左右を分けているのはすべて「設計」の差で、設計は年齢や経験年数と関係なく、
今日から変えられます。
次の三つの質問で、現在地を確かめてください。
自分の素振りがどちら側かを見分ける三つの質問
ここまでの三つの特徴を、そのまま質問の形に裏返します。
明日の素振りの前に、自問してみてください。
- 質問1:いま振った一回が合格か不合格か、振った直後に言えますか。言えるなら、その根拠は手応え以外にありますか。
- 質問2:自分の素振りと、球を打つときのスイングが同じ動きであることを、映像などで確かめたことがありますか。
- 質問3:今日の素振りで直そうとしている動きを、回数以外の言葉で一つだけ言えますか。
三つとも「はい」なら、その素振りは効果側です。
安心して回数を増やしてください。
効果側の素振りにとって、回数は純粋な味方になります。
一つでも「いいえ」があれば、その素振りは悪癖側にいる可能性があります。
とくに注意したいのは質問1です。
根拠が手応えだけの場合、
合否を判定しているのは、長年の癖と一緒に出来上がってきた自分の感覚です。
癖を基準にして癖を測る構図になるため、
この記事では「手応え以外の根拠を一つ持っていること」を合格の条件にしています。
感覚がなぜ判定役に向かないのかは、それだけで一本の記事になる話なので、
ここでは条件の提示までにとどめます。

「いいえ」の直し方は、素振りをやめることではありません
冒頭の体験談に戻ります。
毎日の素振りをやめて調子が戻ったのは、悪癖側の反復の供給が止まったからでした。
中断は確かに、上塗りを止めます。
ただ、それは分岐の手前へ戻っただけで、効果側へ渡ったわけではありません。
必要なのは中断ではなく、「いいえ」を一つずつ「はい」に変える作業です。
取り組む順番は、後ろの質問からが楽です。
質問3を「はい」にする:直す動きを一つ選ぶ
ミスの種類から逆算するのが早道です。
右へ曲がるなら振り遅れにつながる腕と体の順番、
ダフリ・トップが出るなら最下点のぶれ、というように、
出ているミスの上流にある動きを一つだけ選びます。
そもそも何から直すべきかの切り分けに迷う場合は、
練習が空回りする原因を整理したゴルフが上手くならない原因の解説で、
悪癖を固める練習のパターンを先に確認しておくと、的の選び間違いを減らせます。
質問2を「はい」にする:月に一度、素振りと実打を撮り比べる
スマホを後方に置いて、素振りを3回、続けて球を打つところを3回撮る。
それだけです。
毎回やる必要はなく、月に一度で足ります。
見比べて明らかに別の動きをしているなら、回数を増やす前に、
素振りの振り幅と速さを実打に寄せるのが先です。
乖離を放置したままの反復量は、素振り用スイングの上達にしか使われません。
質問1を「はい」にする:一振りごとに合否が返る仕組みを足す
ここが分岐の本丸です。
手応え以外の判定源は、大きく三つあります。
鏡は、その場で見える代わりに、見ようとして首を向けると動きそのものが変わります。
動画は、正確な代わりに、結果が届くのは振り終わったあとです。
そして物理的な器具は、挟んだものが落ちるかどうかのように、動作の最中に結果が出ます。
それぞれ性質が違うので、直したい動きに合わせて選ぶことになります。
私たちが販売しているのは三つ目のタイプで、前腕どうしで挟んだボールが、
腕と体の同調が崩れた瞬間に下へ抜ける、という単純な仕組みのものです。
ただ、繰り返しになりますが、
道具は判定の一手段であって、三つの質問より先に来るものではありません。
挟む素振りの具体的なドリルの組み立て方や、
挟む位置による効果の違いはボールを挟む練習のやり方の解説に分けてあります。
自宅で使う練習器具を、
賃貸・マンションなど住環境の音の制約から選ぶ考え方は静かにできる練習器具の選び方にまとめています。
効果側に移した素振りを、生活の中に固定する
最後に、続け方です。
せっかく効果側に設計し直した素振りも、生活の中に置き場所がないと、三日で消えます。
コツは、量を欲張らないことです。
判定つきの10回は、判定なしの100回より収支が良い。
この記事の結論は、この一行に集約されます。
10回であれば、歯磨きの前後や風呂上がりなど、すでにある習慣の隣に置けます。
時間帯と場所を固定したうえで、記録するのは「今日の合格数」だけにしてください。
回数ではなく合格数を数えることが、
素振りを悪癖側へ滑り戻さないための、いちばん簡単な仕掛けになります。
記録の付け方も、凝る必要はありません。
カレンダーの隅に「7/10」のように、合格数と振った数だけ書き残せば足ります。
この記録には、続けるための燃料という以上の役割があります。
数週間ぶんたまると、合格率が上がる日と下がる日の差──前日に球を打った日は崩れる、
疲れている日は腕から動く、など──が見えてきて、
素振りが自分のスイングの定点観測所に変わっていくのです。
回数だけの記録では、この観測は一生始まりません。
素振りを含めた自宅練習の全体を、曜日と分数でどう組むか──素振りに充てる日と、
構えや別の課題に充てる日の分担──は、自宅練習メニューの設計の解説で扱っています。
素振りが習慣として続かない方は、メニューの中身より先に、
置き場所の設計を疑ってみてください。
「ゴルフの素振りに効果はあるか」。
冒頭の問いには、もうご自身で答えられるはずです。
効果は、あるかないかではなく、どちら側で振っているかで決まります。
分岐を分けるのは才能でも回数でもなく、合否・照合・的の三つが設計されているかどうか。
三つの質問に「いいえ」が残っているなら、それは今日直せる種類の問題です。
よくある質問
素振りは毎日何回やればいいですか?
回数の目安を決める前に、一回ごとの合否が分かる状態を作ることをおすすめします。
合否の分からない素振りは、回数を増やすほど現状の癖の側に積み上がってしまうためです。
判定のある状態なら、集中が続く範囲の少ない回数でも積み上がります。
上達の速さには個人差があります。
素振りだけでゴルフは上達しますか?
素振りで練習できるのは、体の動かし方の型までです。
距離感や打点の微調整には、球を打たないと確認できない要素が残ります。
素振りで型を作り、練習場で照合するという役割分担で考えるのが現実的で、
「素振りだけで上達できる」と断定することはできません。
「毎日の素振りをやめたら調子が良くなった」という体験談は本当だと思いますか?
十分あり得る話だと考えています。
素振りが実際のスイングと別物のまま反復されていた場合、中断すれば悪癖の上塗りが止まるので、
結果として調子が戻ることがあります。
ただしそれは素振りそのものの否定ではなく、判定のない素振りの否定です。
同じ方でも、合否の分かる形に設計し直せば、素振りは効果側に戻せます。
クラブを使わないタオル素振りなどにも効果はありますか?
直したい動きが一つに絞られていて、合否を確かめる手段があるなら、
クラブなしでも効果側の素振りになり得ます。
逆に、道具をクラブからタオルに替えても、
合否の分からない回数記録のままなら分岐は変わりません。
道具の種類より、この記事の三つの質問に「はい」と答えられるかどうかで判断してください。
球を打たない練習は、回数だけがきれいに積み上がります。積み上がったものが狙った形なのかは、打球音も球筋も無い場所では確かめようがありません。体のほうは、良し悪しを問わず反復された側を先に採用します。反復に入る前へ検査を挟む手立てを、こちらに書きました。
振る回数が効果に変わらない訳を読む30日間 全額返金保証つき
※練習の効果には個人差があります。本記事は一般的な練習情報の提供を目的としています。